早期退職ブログ

早期退職後の暮らし。

愛と追憶の日々。

オレが幼稚園の年少さんの時のことです。

近所に同い年のタマちゃんという女の子がいて、オレはその子とすごくよく遊んでおりました。タマちゃんは、元気で面白い、ちょっと小太りの女の子でした。

おそらく周囲の人たちは、2人はデキてると思ってたはずです。

 

でも、オレを知ってる人なら分かると思うけど、オレは女子の「小太り」とか「元気」という要素に惹かれることはないのだ。どっちか言ったら、マイナス要素である。

オレにとって大事なのは、「美女」「スレンダー」「内気」「病弱」とか、そういうことなのです。

 

したがって、タマちゃんはダミーでしかありません。

オレが真に狙っていたのは、タマちゃんのお姉さんのユカリちゃん(当時小1)だったのです。ユカリちゃんは、まさに細っそりと背が高く、目元涼やかな美少女でありました。

 

オレはタマちゃんと遊ぶふりをしてタマちゃんの家に入り浸っていましたが、視線は常にユカリを追っていたのであった。

 

しかし、ユカリはなかなか、オレやタマちゃんと一緒に遊んでくれない。きっと、「年下なんかと遊べるわけないじゃない」と思ってるに違いないのだ。

生意気な女め!だったら、この年の差を逆手に取ってやる。ユカリの母性本能をくすぐってやろうじゃないか。

 

なんたって当時のオレは、幼稚園で誰かに意地悪されて、「えーん、えーん」て泣いてたら、先生に「こんな可愛い久くんを泣かせたのは誰っ?!」とまで言わせしめた男だったのだから。

 

「なんだかお腹が痛いよう」

オレがそう言ってお腹を抱えると、一緒に遊んでたタマちゃんはビックリして、「お姉ちゃん、久くんがお腹が痛いって言ってる!」とユカリに言いに行った。

 

ユカリが心配そうに飛んできて、「どうしたの?お腹痛いの?どこら辺が痛いの?」などと年上女らしい言葉をかけてくる。

この時、ユカリは、自分が周到に張り巡らされた恋の罠に嵌まろうとしてることなど知るよしもなかった。

 

「うぅっ…ここらへんが痛い……」と言うと、ユカリは「ここ?」とオレのお腹をさすった。

さすが年上女はやることが大胆なのだ。いきなりディープなボディタッチである。

 

「うぅっー…撫でてもらうと気持ちいい…」

「そう?じゃあ、しばらく撫でてあげるよ」

 

ユカリは年上として当然のことをやってるだけと思っていたが、いつしかそれが恋に変わっていくのを認めずにはいられなかった。

 

(ふふっ、落ちたな…)

当時のオレに「落とす」などというボキャブラリーはなかったが、心の中で完璧な勝利を満喫していた。

 

この勝利から数ヶ月後、オレはひとつ隣りの駅の街に引っ越してしまい、同時にユカリとの関係も切れてしまったのである。(幼稚園児にとって、電車で一駅は東京と札幌ぐらいの距離なのだ)