早期退職ブログ

早期退職後の暮らし。

映画番外編「これ来た、ガーン来た(邦画・後編)」

思ったんだけど、オレは映画のことを書いているようでいながら、自分の過去を振り返ってるのよね。

前に、これまでオレが乗ってきた車のことを書いたことあるけど、あれと同じで。

なんと言うか、自分を形作ってきたものを整理してると言うか。終活の一環と言うか。

まあ、そんな事は置いといて、「ガーン来た」邦画の後編よ。長いわよ。覚悟しなさい。

 

犬神家の一族(1976年版)」

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このポスターだけで「ガーン」て来るわよね。良くも悪くも、子供時代のオレの中に「日本映画」のイメージを作った映画です。

大ブームを起こした角川映画の第一作目です。公開当時はまだ子供だったから、CMで見ただけですが、池から足が突き出た死体の映像はトラウマになりました。

中学生の頃、テレビで見て、日本に於ける陰惨な「血族」の運命だったり、猟奇的殺人でありながら何故か不思議に美しい映像に、「こんな怖くておどろおどろしい映画なのに、面白く感じるのは何故なの?!」って衝撃を受けました。もともと面白い横溝正史の原作を、さらに100%以上の魅力ある作品に仕上げた市川崑は凄いです。邦画らしい邦画の力を感じさせてくれます。

市川監督は30年後に同じ脚本、同じカット割りで石坂浩二以外のメインキャストを替えて再映画化しました。でも、やっぱり珠子役は松嶋菜々子より島田陽子の方が何倍も素晴らしいし、佐清役も尾上菊之助より西郷輝彦の方が合ってると思っちゃうのよねー。

あ、話はそれるけど、古畑任三郎のこれ(↓)とか

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庵野監督のこれ(↓)とかって、

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市川崑映画のこれ(↓)が元ですからね。ぼーっとしてるんじゃないわよ。試験に出すわよ。

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八甲田山

これは以前書いたので簡単に。

https://nyorizo.hatenablog.com/entry/2019/07/12/095243

これも日本ならではの古い因習や重い宿命に囚われたことによる悲劇です。この「日本的な宿命」は、「さらば宇宙戦艦ヤマト」みたいな子供向けアニメでも見られるものです。

むかしは、八甲田山とか犬神家みたいな日本映画のことを、「暗くてジメジメしてるよなー」って思ってたけど、歳をとってきたら、「いやー、これこそ日本映画だよなー」って思うようになりました。石川さゆり八代亜紀の演歌を聞くと泣けてきちゃうのと同じだね。オレにも日本人の血が流れてるんだなーって思うのです。

 

「お葬式」

初めて見た時、「うわ、何これ、こんなんがテーマに出来ちゃうのか!」と感動しました。この映画がその後の日本映画の潮流を変えたと思います。

大学の授業で「パラダイムシフト」を教わった時、まさにこの映画「お葬式」こそがパラダイムシフトだと気付きました。「お葬式」という日本の伝統的なイベントをテーマにしているという意味では「犬神家」に通じるところもあるんだけど、それを別の角度から見ることで新しい光を当てたのです。人が、伝統に縛られ則ろうとする様はコミカルであったりするわけです。すごいなあ伊丹十三

映画としては、ちょっとやり過ぎな部分もあるけど、初監督作品でこのレベルなのは、それまで伊丹十三が俳優や作家として培ってきたものの深さを感じさせます。

 

その男、凶暴につき

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北野武の初監督作品です。当初、深作欣二が監督するはずだったけど、スケジュールが合わず降板し、ビートたけしが自分で監督することになったそうです。

それまでにも、たけしは本を書いたり俳優をしたりしてマルチな才能を見せてたけど、この映画を撮ったことによって、「ビートたけしの神格化」が一層強まった気がします。

刑事ドラマとかでアクションシーンはたくさん見てきたけれど、殴ったり蹴ったりするシーンで「痛っ!」って感じさせたのは、この映画が初めてでした。

映画やドラマのアクションって、「ここでこう殴ればカッコ良く見える」ってのがあるけど、この映画はそーゆーのを全て削ぎ落としてしまってるの。だからリアルだし、痛いの。淡々としたストーリーと演技、繰り返される暴力、そして後に「北野ブルー」と呼ばれるようになる青白い映像。誰の真似もしていない、北野武監督の独特の映画です。

 

千と千尋の神隠し

当時、オレは大人になってたから、アニメはほとんど見なくなってたけど、これはあまりにも評判良かったから、仕事を抜け出して、会社の向かい側にある映画館で見てきました。

子供の頃の、森の奥の向こうに行ってみたいけど怖くて行けない、という感覚を思い出させてくれます。森の向こうには神様たちが寛ぐお風呂屋さんがあったのです。

スターウォーズのジャバザハットの宮殿みたいなゴチャゴチャした楽しさよね。同じようなシーンを、西洋は宇宙人で描き、日本人は八百万の神様で描くところが面白いです。

よく言われるけど、宮崎監督作品の空を飛ぶシーンはすごく爽快で、ハクが竜になって空をブワーって飛ぶとこは、ホント気持ちいい。こんな感じを味わせてくれるのはハリウッドでもそうそうないわね。

日本のアニメは素晴らしいのがたくさんあるけど、この「千と千尋」は、なんかこう、心に染み入ってくるっていうのかしら?そーゆーとこが、ちょっと特別なのよ。

アカデミー賞の最優秀長編アニメ賞を受賞してます。

 

以上です、サイバンチョウ。