一人で旅行するなんて何年ぶりだろう。
いや、「何年ぶり」ではない。
一人で泊まりの旅行したことなんてなかった。一人で新幹線乗ったり、飛行機に乗ったことがあったから、ひとり旅をしたことがあるような錯覚に陥ってたが、あれは出張だ。旅行じゃなかった。
今回は本当に一人で旅行なのだ。二泊か三泊。
諸般の事情で、関東から出てはいけないというルールがあるけど。
最初は熱海とか箱根とか、あるいは富士山の方に行こうと思ってました。
でも、よく考えたら、熱海や箱根や富士山は奥さんと行ったことがあるし、これからも行くことはあるだろう。
なので、奥さんと一緒だと決して行かない場所に行ってみることにした。
それは茨城。
茨城は魅力のない県の1位とか2位だし、たしかにバエる観光地はあまりなさそうだ。
奥さんと旅行に行こうとなった際、絶対「茨城に行ってみたい!」と言うはずはないのだ。
てことは、このままだとオレは茨城に行かないまま死んでしまうかもしれない。
(正確に言うと、一人で日帰りドライブで茨城のひたち海浜公園に行ったことがある。↓この景色を見たかったのだが花は枯れてた。しかも大雨だった。)
(あ、あと、小学校3年の遠足が筑波山だった)
というワケで茨城に行くことにした。
茨城を見ずして人生を語ることなかれ。
人生で最初で最後の茨城旅行かもしれない。
細かい予定は立てていない。
でも、茨城と言ったら、とりあえず霞ヶ浦だろう。日本で二番目に大きい湖だ。
葉山から車で4時間ぐらい。(途中休憩含む)
デカい。ふーん、これが霞ヶ浦か。
特段、感動するわけでもないが、来て良かった。
湖畔にサイクリングコースが整備されてて、自転車乗る人にはいいかもしれません。
霞ヶ浦を見た。次はどこに行くべきか。
茨城空港だ。
なぜ茨城に空港が?いらねーだろ。と常に思ってた。
茨城空港に行けば、その謎が解けるかもしれない。
↓茨城空港のロビー。意外と人がいる。この空港はスカイマークしか離発着してないようだ。
↓2時間に一本しか飛行機が飛んでない。
ますます茨城空港の必要性に疑問を持たずにいられない。
ところが、展望デッキに出てビックリした。
おおぜいの人々が金網に張り付いて飛行機を見てるではないか。(↓)
↓彼らの視線の先には一機の飛行機が。
空港を見渡しても、飛行場にいる飛行機はこの一機だけだ。
そのたった一機の飛行機をみんなが見ている。
そして、「おー!搭乗が始まった」「おーい、おーい!」「行ってらっしゃーい!」などと声をかけている。
たぶん、身内の見送りをしに来たのではない。
みなさん、2時間に一本の飛行機が飛び立つところを見に来てるに違いないのだ。
胸が熱くなった。
我々が失った何かを茨城県民は持っている。
かつて、誰にとっても、飛行機は夢の乗り物だった。
そして、そんな飛行機に乗ってどこか遠くへ行くなんて、人生の一大事だったはずだ。
それなのに、いつしか、「飛行機乗るのなんか慣れてるしー」的な感じで搭乗時間ギリギリに空港に着いたり、セキュリティチェックで「ったく、たりーなー!」みたいにわざとらしく不機嫌面をしてみたり。
そんなアーバン気取りに毒されたオレのハートは粉々に打ち砕かれた。
飛行機が飛び立つ姿を見て、ただ喜ぶ。
美しい。あんた達、美しいよ。
茨城空港の存在理由?
そんなのどうでもいいじゃないか。
こんな素敵な茨城県民を見れたのだから、もうそれだけで充分だ。
いいものを見せてもらった。ありがとう。
さて、そろそろ夕方だ。今夜はどこに泊まるのがいいだろう。
続く。